【薬剤師が解説】赤ちゃんと便秘薬|赤ちゃんと授乳中のお母さんの便秘薬使用について解説

赤ちゃんと便秘薬|赤ちゃんと授乳中のお母さんの便秘薬について

赤ちゃんの頑固な便秘を治すために、お薬を使うことがあります。
薬には医師が処方し病院や薬局で渡される処方薬と、市販の薬があります。
その中で赤ちゃんの便秘の治療によく使われている薬の名前と効果について解説します。
また、授乳中の便秘薬の服用と赤ちゃんへの影響についても触れていきます。

 

 

 

赤ちゃんに薬を使う前に

処方薬は、医師の診察をもとに赤ちゃんの症状に合った薬が選ばれています。
赤ちゃんの便秘の薬は、大人用の薬と同じ成分の薬が使われることもあります。
しかし、成分が同じとはいえ大人用と赤ちゃん用では薬の量が違います。

便秘かな?と思ったらまずはこちら!赤ちゃんの便秘の基礎知識と対策

赤ちゃんの便秘の原因とその対策|水分不足には要注意

 

余った薬は基本的に使わない

前に便秘の薬を処方されていて薬が余っているからできればそれで済ませたい、というときもあると思います。
しかし、余っている薬はかかりつけの医師の判断無しに使わないでください。
赤ちゃんの便秘の症状が前と同じように見えても、細かい症状や便秘の原因が前とは違っていることがあるからです。
前とは違う症状や原因なのに同じ薬を使ってしまうと、便秘だけでなく赤ちゃんの体調が悪化しかねません。

 

市販薬は使う前に医師へ相談

市販薬はドラッグストアやインターネット通販で購入できるので大変便利です。
しかし、市販薬はまず小児科医などの専門家に相談してから購入して使ってください。
めったにないことですが、便秘の症状が出る別の病気になっている可能性を見逃さないためです。

 

 

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飲み薬

赤ちゃんの便秘薬でよく使われているのが飲み薬です。
飲み薬には水薬と粉薬があります。

 

マルツエキス

画像引用:アサヒグループ食品

  • 商品名:和光堂マルツエキス、和光堂マルツエキス・スティック
  • 成分名:マルツエキス
  • 剤型:内用液剤

マルツエキスは甘くてまるで茶色い水あめのような薬です。
赤ちゃんの便秘薬ならこのマルツエキスといわれるほど昔から使われています。
なぜ赤ちゃんの便秘にはまずマルツエキスかというと、効果はもちろんですが甘い水あめのようで赤ちゃんがほぼ嫌がらずに飲んでくれるから、そして自然に近いお通じになるからです。
マルツエキスには小児科で処方される薬と市販薬がありますが、いずれも同じ成分です。

 

マルツエキスの甘みは有効成分の麦芽糖によるものです。
そして、マルツエキスが便秘に効く理由は麦芽糖と腸内細菌の力の両方が働くからです。
麦芽糖がお腹に入ると、腸内細菌が麦芽糖を食べてガスを出します。
このガスがおだやかに腸を刺激し、自然に近い排便を起こします。

 

飲ませ方は、スプーンやスポイトを使ってそのままなめさせるか、お湯やミルクで薄めて飲ませるかです。
もしも医師や薬剤師から飲ませ方の指示があるならその通りにしてくださいね。

 

なお、市販薬のマルツエキスは和光堂から販売されています。
パッケージは2種類あり、スプーン付きの缶入りと、1〜2回分の量が個包装になったスティックの製品です。

 

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モニラックシロップ

画像引用:中外製薬株式会社


画像引用:日本化薬株式会社


画像引用:興和創薬株式会社

  • 商品名:モニラック・シロップ65%、ピアーレシロップ65%、ラクツロース・シロップ60%「コーワ」
  • 成分名:ラクツロース
  • 剤型:シロップ剤

モニラックシロップと同じ成分の薬にはピアーレシロップ、ラクツロースシロップがあります。
全て処方薬です。
モニラックシロップの用法は1日3回です。

 

モニラックシロップの味はかなり甘く、甘すぎて飲めない子もいるぐらいです。
飲みづらいときは、水で薄めるよりは冷やした方が飲みやすくなります。
冷蔵庫でよく冷やしておくと甘みを感じにくくなりますよ。
逆に、水で薄めると量が増えてますます飲みづらくなり赤ちゃんが辛くなって服薬拒否、となることがあります。
がんばって飲んだらお茶や水で口直ししてあげましょう。

 

モニラックシロップの主成分はラクツロースという糖です。
ラクツロースは腸内細菌の働きで酸に変わり、腸を刺激する作用があります。
また、作られた酸の力で酸に弱い悪玉菌が減り、酸に強い善玉菌の働きが活発になります。

 

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ラキソベロン内用液(ピコスルファートナトリウム内用液)

画像引用:帝人ファーマ株式会社

  • 商品名:ラキソベロン内用液0.75%
  • 成分名:ピコスルファートナトリウム水和物
  • 剤型:液剤(水に溶かして飲むタイプの薬)

ラキソベロン内用液、もしくはピコスルファートナトリウム内用液は腸への刺激作用がある便秘薬です。
こちらも処方薬です。
大人の便秘にもよく処方される薬です。

 

ラキソベロン内用液は無味無臭の液で、目薬のような容器に入っています。
赤ちゃんの月齢や症状に応じて1回の量が2滴や3滴と決められています。
医師の指示通りの滴数を守ってくださいね。
医師によっては様子を見て滴下量を増やすように指示が出ることもあります。

 

飲み方は、水、お茶、果汁などに滴らして1日1回飲ませてください。
味が無いのでどんな飲み物にでも合いますが、ミルクにはなるべく入れない方が良いでしょう。
「ミルクを飲むとお腹が下る」と赤ちゃんが覚えてしまうと、今後ミルクを拒否してしまうかもしれないからです。

ラキソベロン内用液の効き目のメカニズムや注意点についてはこちら。

医療用便秘薬『ラキソベロン内用液』『ラキソベロン錠』の効果、副作用

 

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酸化マグネシウム(カマ)

酸化マグネシウムは非刺激性の便秘薬です。
その理由は、酸化マグネシウムが腸に水分を集めて自然なお通じを起こすからです。
なお、赤ちゃん用は酸化マグネシウムの薬は処方薬の粉薬しかありません。
大人用の酸化マグネシウムは処方薬も市販薬もあります。
大人用は錠剤が市販されています。

 

酸化マグネシウムの粉薬は、医師の指示通りに1日3回もしくは1日1回まとめて服用します。
しかし、酸化マグネシウムの粉薬は水に溶けにくくざらざらしていて、大人でも飲みづらいのが欠点です。
幸いにも赤ちゃんが飲む量は一度にほんの少しなので、少量の水で練って赤ちゃんの上あごかほっぺたの裏に塗る方法がおすすめです。
塗ったらお水やお茶を飲ませると自然に飲み込めます。
離乳食が始まっていれば、『おくすりのめたね』などの服薬補助ゼリーを使う手もあります。

酸化マグネシウム便秘薬の効き目のメカニズムや注意点についてはこちら。

酸化マグネシウム便秘薬について|効果や注意点などを詳細解説

 

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整腸剤

整腸剤は、乳酸菌やビフィズス菌などが配合された薬です。
善玉菌の働きで、お腹の調子を良くします。
処方薬ではラックビー微粒N、ミヤBM細粒、レベミンS配合散などの粉薬があります。

画像引用:興和創薬株式会社

  • 商品名:ラックビー微粒N
  • 成分名:ビフィズス菌
  • 剤型:散剤
  • 商品名:ミヤBM細粒
  • 成分名:酪酸菌(宮入菌:Clostridium butyricum MIYAIRI)
  • 剤型:散剤

画像引用:わかもと製薬株式会社

  • 商品名:レベニンS配合散
  • 成分名:ラクトミン、ビフィズス菌
  • 剤型:散剤

便秘と下痢のどちらにも効果があります。
市販薬は赤ちゃんが3か月になってから始めることができ、新ミヤリサンアイジ整腸薬、新ビオフェルミンS細粒、宇津こども整腸薬TPなどがあります。

画像引用:amazon.co.jp

  • 商品名:新ミヤリサンアイジ整腸薬
  • 成分名:宮入菌(酪酸菌)、リボフラビン、ピリドキシン塩酸塩
  • 剤型:散剤

画像引用:ビオフェルミン製薬株式会社

  • 商品名:新ビオフェルミンS細粒
  • 成分名:コンク・ビフィズス菌末、コンク・フェーカリス菌末、コンク・アシドフィルス菌末
  • 剤型:散剤

画像引用:宇津救命丸株式会社

  • 商品名:宇津こども整腸薬TP
  • 成分名:ラクトミン、糖化菌、酪酸菌
  • 剤型:散剤

 

赤ちゃんの便秘に使われる整腸剤はすべて粉薬です。
整腸剤はほんのり甘い粉薬ですが、粉っぽさがあります。
飲みづらいときはちょっとだけ工夫が必要です。
少しの水でおだんご状にして赤ちゃんの上あごへ貼り付けると飲み込みやすくなります。
その後は口の中に薬が残らないように飲み物を飲ませましょう。
また、ヨーグルトやアイスクリームを食べられるようになったら、それに薬を混ぜて食べさせてもOKです。

 

注意点として、整腸剤は飲み物に溶かすには不向き、ということが挙げられます。
整腸剤は水に溶けきらないものが多く、水や果汁に混ぜてもコップなどの容器の底に残ってしまうからです。

医療用整腸剤ラックビー微粒N、ミヤBM微粒の効き目のメカニズムや注意点についてはこちら。

医療用の整腸剤『ラックビー』の便秘解消効果、副作用について

医療用の整腸剤『ミヤBM』の便秘解消効果、副作用について

 

 

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浣腸・坐剤

赤ちゃんの便秘の薬には飲み薬だけでなく、浣腸薬や坐剤もあります。
浣腸薬や坐剤は飲み薬よりも使う手間がかかりますが、早く効果が出るのが特徴です。

 

浣腸薬

病院で使われる浣腸および市販の浣腸の成分はグリセリンと水です。
浣腸で腸に入ったグリセリンが潤滑油のように働いて溜まった便を一気に出します。
浣腸は数分〜10分ぐらいで効果が出る即効性のある薬です。

 

ただ、市販の浣腸薬は医師などの専門家の相談なしに赤ちゃんに使うのはおすすめしていません。
なぜなら、便秘が腸の病気が原因で起きている場合、浣腸を使うと腸が傷つき破れてしまう恐れがあるからです。
赤ちゃんが3か月未満の場合は浣腸を使う前に必ず病院を受診しましょう。
3か月〜1歳なら使う前にまず医師に相談してください。

便秘に用いられる浣腸薬の種類と効き目のメカニズムについてはこちら

辛い便秘の切り札、浣腸の効果や副作用、注意点

 

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テレミンソフト坐薬

画像引用:EAファーマ株式会社

  • 商品名:テレミンソフト坐薬2mg
  • 成分名:ビサコジル
  • 剤型:坐剤

お尻に入れる坐薬もあります。
赤ちゃん用の小さい坐薬で、テレミンソフト坐薬2mgという坐薬があります。
こちらも処方薬なので、医師の受診が必要な薬です。
浣腸よりは遅いものの即効性があり、1〜2時間以内に効果が出ます。
テレミンソフト坐薬の主成分はビサコジルという成分で、腸へのかなり強い刺激作用があります。
必ず主治医の指示通りに使い、むやみに使い続けたり連用しないようにしてください。

 

 

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薬の副作用は?

便秘薬の副作用で多いのが下痢、腹痛、吐き気や嘔吐です。
たいていは一時的なものです。
腹痛や吐き気は見た目では分かりにくい症状なので、少し気を付けて様子をみてください。
ただ、下痢や嘔吐を繰り返すときや、赤ちゃんが泣き止まない、ぐったりしているなどいつもと違うと思ったときはかかりつけの病院へ連絡してください。

 

 

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授乳中の便秘薬、赤ちゃんへ影響は?

今までは赤ちゃんの便秘薬の話でしたが、少し目線を変えて授乳中の便秘薬の服用について紹介します。
便秘で辛いから便秘薬を服用したいけれど、母乳に薬の成分が出てこないか心配ですよね。
赤ちゃんに便秘薬の影響が出ないかどうか不安になると思います。
赤ちゃんに影響がないとされる便秘薬と、授乳中は望ましくない便秘薬について解説します。

 

授乳中のお母さんが使用しても影響がないとされる薬

酸化マグネシウムの薬や整腸剤など、上記にあげた赤ちゃんに使われる便秘の薬においては薬の成分がほとんど母乳に出ないことが分かっています。
母乳に出たとしてもごく微量で、赤ちゃんの体調にはほぼ問題ありません。
授乳中でも服用できる大人用の市販薬としては、コーラックUなどのビサコジルが主成分の便秘薬、酸化マグネシウムの便秘薬、整腸剤、グリセリン浣腸があります。

 

ただし、念のため市販薬の購入前は薬剤師や登録販売者へ相談し、授乳中だと伝えてくださいね。

 

授乳中は望ましくない薬

注意したい成分が、センナ、ダイオウ、センノシド、カサンスラノールを含む便秘薬です。
これらの成分は母乳に溶け出し、赤ちゃんに軟便や下痢を起こすことが知られています。

 

センナ、センノシド、ダイオウは市販の便秘薬や漢方薬によく配合されているので、授乳中は誤って購入しないように注意が必要です。
また、薬ではありませんが、センナ茶などの健康茶やダイエット食品にもセンナが入っていることがあるので気を付けましょう。
なお、カサンスラノールが含まれているのは処方薬のビーマス配合錠のみなのであまり見かけることはないと思います。

 

もしも、これらの成分が含まれる便秘薬や健康茶をどうしても服用するなら、あるいはうっかり摂ってしまったら、授乳は中止してミルクに切り替えましょう。

 

服薬中は赤ちゃんの様子をしっかりみる

影響がないとされる薬でも、薬を服用後に授乳したら念のため赤ちゃんの様子をいつも以上に見ましょう。
赤ちゃんの便がゆるくないか、機嫌や体調はいつもどおりかどうかをチェックします。

 

 

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まとめ:便秘薬は医師・薬剤師の指示通りに!

薬を使って赤ちゃんの便秘が解消すればとりあえず安心ですね。
でも、便秘は一度良くなっても繰り返すことがあります。
便秘を繰り返さないためには、体に排便リズムを覚えさせることが予防につながります。
医師や薬剤師の指示どおりに薬を使いながら、赤ちゃんへしっかり排便させる習慣を身につけてあげましょう。

その薬、刺激性?それとも非刺激性?便秘薬の種類を特徴を薬剤師が解説します!

【薬剤師が教える】便秘薬の選び方とおすすめ

 


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